再生可能エネルギーの主な調達方法としては、「自家発電・自家消費」「PPAモデルの利用」「小売電気事業者からの購入」「環境価値の購入」があげられます。それぞれの調達方法のポイントについて見ていきましょう。
自社で所有している建物や土地などを活用して発電設備を導入することで、再生可能エネルギーを調達できます。自家消費型の太陽光発電であれば導入しやすく、補助金制度の利用で初期費用を抑えることも可能。ただ、太陽光発電は日射量や設備を設置する面積で発電量が左右されるのがネックになります。場所や敷地面積によっては、ほかの調達方法との組み合わせを検討する必要も出てくるでしょう。
自家消費型の太陽光発電が導入のために初期費用を必要とするのに対し、初期費用ゼロで太陽光発電を導入できるのがPPAモデルです。PPAモデルでは太陽光発電の設備導入にかかる費用をPPA事業者が負担する代わりに、電力を必要とする企業はPPA事業者に設備を設置する敷地と電力の購入費用を提供します。
PPAモデルなら初期費用をかけずに再生可能エネルギーを調達できるため、設備を設置する敷地はあっても、初期費用や保守運用費などの問題で太陽光発電の導入を諦めていた企業におすすめの調達法です。
小売電気事業者のなかには再生可能エネルギーを取り扱った料金プランを提供しているところもあり、そこから再生可能エネルギーを調達することができます。PPAモデルと同様に初期費用や保守運用費を必要としないほか、さらに発電設備を設置する敷地がない企業でも再生可能エネルギーを手軽に調達できるのが魅力です。
一方で、通常の電気料金よりも高額だったり、料金プランの選択肢が少なかったりといった課題もあるため、プランの内容はしっかりと確認しましょう。また、固定価格買取制度(FIT制度)の対象となる電力の場合、再生可能エネルギーとしては認められない点も注意が必要です。
敷地外の発電設備から電力を調達します。メガソーラーと専用線でつなげる方法です。石狩市のさくらインターネットのデータセンターが採用しています。メリットは災害時で大規模な停電が起きても、自営線が無事なら電力を確保できる点です。ただ、敷地外の発電設備から電力が必要な建物との距離が長く、規模が大きくなればなるほどつなげるためのハードルは高くなります。
敷地外の発電設備から、送配電ネットワークを経由して必要な場所まで届けて電力を調達します。電力が必要な場所では十分な発電ができなくても、遠方の発電に適した場所に設けられたメガソーラの電力でも使えるのがメリットです。専用線の設置は求められません。導入ハードルも低いです。ただし、送電網は電力会社の設備のため、託送料金が発生します。再エネの発電コストが低くなれば、有効な調達方法です。
企業が再生可能エネルギーを調達する方法として最も利用されているのが、環境価値の証書・クレジットの購入です。
環境価値の証書・クレジットとは、再生可能エネルギーの持つ二酸化炭素を排出しないという環境価値の部分を取り出して売買する仕組みのこと。国内で企業が購入できるものには、グリーン電力証書、J-クレジット、非化石証書があります。
これらの証書・クレジットを購入することで、再生可能エネルギーを調達しているとみなされ、環境に配慮している企業としてのアピールにもなるのです。ただし、証書・クレジットを購入するには、厳しい審査をクリアしなければいけません。
再生可能エネルギーの調達にはさまざまな手段があるため、どれが自社に合っているのかを検討するには、まず再生可能エネルギーを調達する目的を明確にするところから始めましょう。
たとえば、省エネ法や温対法で求められる「年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減」「温室効果ガスの排出抑制」などをクリアしたい場合、小売電気事業者が提供する適したプランを選択、もしくは環境価値の証書・クレジットを購入などの手段が合っています。
SDGsやRE100への取り組み、または地域貢献がしたいのであれば、発電設備の設置場所を配慮したり、小売電気事業者から適したプランを購入したりといった、複数の方法を組み合わせたりなど目的に応じた手段の検討が必要です。
再生可能エネルギーは必ずしも環境に優しいわけではなく、発電所によっては設備の建設のために森林伐採を行なっていたり、地域住民から反対運動を起こされていたり、と周辺環境に悪影響を及ぼしているケースもあります。環境に配慮した再生可能エネルギーを調達していたはずが、環境破壊によって作られた電力を購入していた可能性もあるのです。
そのため、再生可能エネルギーを調達する際は、環境に配慮された発電所・電力かをしっかりと確認する必要があるでしょう。環境に配慮された発電所・電力かを判断する材料として、自然エネルギー財団が発表している電力調達ガイドブック内の「自然エネルギーの電力を選択する基準」が参考になります。
【自然エネルギーの電力を選択する基準に合致しない発電設備の例】
環境負荷
持続性
追加性
地域貢献
※[PDF]参照元:自然エネルギー財団「電力調達ガイドブック第5版(2022年版)」 https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/RE_Procurement_Guidebook_JP_2022.pdf
「エネ監ポータル」では、「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」、「既存設備の流用がしたい」、 「他社システムとの連携がしたい」、という導入目的に当てはまるシステムを提供している会社を提供会社の分類から1社ずつご紹介します。
引⽤元︓クレアビジョン公式サイト(https://clairvision.co.jp/service/ever-green-vision/)
エネルギー監視システム用のソフト開発から、パッケージ化されたシステムの提供までを実施。ITを軸にした価値提供をしています。
引⽤元︓マクニカ公式サイト(https://www.macnica.co.jp/business/energy/products/136384/)
マクニカは世界中の先端テクノロジーを組み合わせた提案・販売を得意とし、技術商社としての立場を確立してきた企業です。
引⽤元︓東京ガス(https://eee.tokyo-gas.co.jp/service/energymanagement/detail.html)
ガスと電気を対象にした自動制御によるエネルギーマネジメントシステムを提供。気象情報データと連動させた計画運転も可能です。
【選定条件】
「エネルギーマネジメントシステム」としてピックアップした事業者について:2023/6/30時点、「エネルギー管理システム」「エネルギーマネジメントシステム」「エネルギー監視システム」でgoogle検索を実施し、100位以内に表示された事業者52社から選出。
「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」「既存設備の流用がしたい」「他社システムとの連携がしたい」「複数メーカーの機器を一元管理したい」という要望に応えられる事業者の内、各業種の分類から実績数が明確かつ多い企業をおすすめとして掲載しています。