GX はグリーントランスフォーメーション(以下GX)の略称です。カーボンニュートラルの達成を目標とし、そのために経済社会システム全体の変革を目的とします。
カーボンニュートラルは、二酸化炭素といった温室効果ガスの実質0の状態を指しています。カーボンニュートラルを実現するには、従来の経済社会システムのままだと限界がある点は否めません。
カーボンニュートラルの実現には、企業とステークホルダーまで巻き込んだ経済社会システム自体を、根本から変革しなければならないのです。そのための方法としてGXがあります。
カーボンニュートラルは、地球温暖化対策です。地球温暖化の問題点は、地球環境を大きく変えることといえます。放置すれば、人間も含めて生命の危険がおびやかされかねません。たとえば、気候変動により温度が高まったどうでしょうか?氷河が溶ければ海面上昇につながります。現在は水面の上にある土地が海に沈むことになるのです。異常気象や雨の減少が起きれば、砂漠が広がります。
日本も無視できません。北海道のオホーツクで、流氷の減少が報告されています。沖縄の南西諸島にいるマラリアを媒介する蚊が、気温上昇により日本国内の広範囲に発生するようになれば感染症という問題も出てくるのです。
ビジネスにも関連します。カーボンニュートラルを無視し、利益追求のみに突き進んでしまえば世界中から白い目で見られます。GXに力を入れなければ、ビジネスチャンスを逃す要因にもなるのです。
経産省が2022年2月にGXリーグを設立しました。巨大企業だけが取り組むだけでは、カーボンニュートラルの実現は難しいため、GXへ本気で取り組む企業群と、官、学、金が協働してGXを実現する場としてGXリーグが設立されました。
GXリーグは、排出量の削減と、貢献が外部から正しく評価されて成長できる社会を目指しています。企業は利益を追求する組織ですから、排出量を削減して痛みしか残らなかったという結果では破綻しかねません。環境への投資が正当に評価されて利益につながれば、経済、環境、社会のサイクルが整えられます。GXリーグはその好循環を目指しているのです。
GXリーグに参画するメリットはたくさんあります。どんな内容か、想定できる主なメリットをご紹介します。
地球温暖化への危機意識が高まっている時代、カーボンニュートラルへの取り組みは企業としてのブランディングを考える上で有効です。製品やサービスを求める消費者や取引先企業が、環境問題に対し高い意識を持っている場合、取り組んでいる事実が好印象として働きます。
逆にカーボンニュートラルを無視し、利益追求だけ考えるなら社会的な信用度が落ちかねません。取引先もビジネス相手として敬遠するリスクがあります。
カーボンニュートラルに取り組んでいる事実に注目する方もいますし、対応できる企業力があるのもアピールになります。GXリーグに参画している事実が客観的な証明です。企業ブランディングという点で、GXリーグへの参画は有効といえるでしょう。
ESG投資の対象や、知名度が高まり、環境への意識を持った優秀な人材の確保につながります。ESG投資は従来の判断材料だった、財務情報以外に、環境や社会やガバナンスを取り入れようという投資です。
日本の年金積立金管理運用独立行政法人も、ESGの視点を投資判断の要素のひとつにしています。また、世界の投資機関もESGの視点を重要視し、取り入れる傾向にあるのです。
優れた人材確保という点も無視できません。環境への意識が高い人なら、GXリーグに参画している企業は魅力的に感じる可能性があります。環境への高い意識があれば、カーボンニュートラルの専門知識を持っているはずです。GXリーグに参画する企業にとっては求める人材の確保につながります。
また、GXリーグに取り組み、一定項目を実践していると認められた企業には政府からの補助金や各種制度での優遇措置も検討されているのです。投資を得るという点でもGXリーグに取り組むメリットはあります。
GXリーグに参画して得られるメリットを得るには、求められるものを実践しなければなりません。参画した企業が求められる内容は主に3つで【排出削減】【サプライチェーンでの炭素中立に向けた取り組み】【製品とサービスを通じた市場での取り組み】です。
GXリーグに参画すると、排出削減の取り組みが求められます。要件は【自ら1.5度努力目標を実現するための目標設定と、挑戦と、取り組みの公表】です。
2050カーボンニュートラルに賛同して、2030年の排出量削減目標を掲げた上で、どうやって達成するかの戦略が求められます。目標設定の範囲は、直接および間接的な排出も対象です。目標とする2030年までに、中間地点の目標設定も求められます。
毎年、進捗度合いを公表し、実現に向けた努力も必要です。削減目標を達成できないと国内分の直接排出に関する、Jクレジット等のカーボン・クレジット、企業間の自主的な釣果削減分の取引を実施したかどうか公表も求められます。
日本は国連に提出した国別削減目標NDCで、2030年46%削減という貢献目標を掲げました。目標より野心的な排出量削減目標に引き上げるのも、義務ではなく任意ですが要件としています。
サプライチェーン全体に、能動的に働きかけるのも要件です。一部事業者が取り組めばいいものではなく、全体でカーボンニュートラルへの取り組みが求められています。たとえば、サプライチェーンの上流事業者に対し、2050カーボンニュートラルのために排出量を削減するための支援です。
下流となる消費者にも、製品やサービスへの表示で、付加価値や意識を高める取り組みを求められます。この2つの取り組みは炭素中立の取り組み内容として必須です。
任意ですが、温室効果ガスの排出も2030年の削減目標を掲げ、達成のためにトランジション戦略を描くことが求められます。ポイントは、サプライチェーン全体を巻き込んでいく意識です。自社だけ、一部賛同者だけ取り組めばいいものではありません。サプライチェーンに関わる対象全体に働きかけていこうという内容です。
市場のグリーン化のけん引も要件として含まれています。積極的にグリーン製品を優先的に購入し、市場のグリーン化をけん引しようという目的です。
具体的な取り組みは主に3つあります。生活者や教育機関やNGOといった市民社会と気候変動の取り組みに対してコミュニケーションを行って、気づいたことを経営に活かそうというものです。
革新的なイノベーションの創出への取り組みも求められます。イノベーションに取り組んでいるプレイヤーと、新製品やサービスによる削減貢献。クレジット、カーボン・オフセット製品を販売し、グリーン市場の拡大を求められるのです。この2つは必須とされています。
グリーン製品の調達や購入で需要を作り出して消費市場のグリーン化への取り組みが任意で求められています。
「エネ監ポータル」では、「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」、「既存設備の流用がしたい」、 「他社システムとの連携がしたい」、という導入目的に当てはまるシステムを提供している会社を提供会社の分類から1社ずつご紹介します。
引⽤元︓クレアビジョン公式サイト(https://clairvision.co.jp/service/ever-green-vision/)
エネルギー監視システム用のソフト開発から、パッケージ化されたシステムの提供までを実施。ITを軸にした価値提供をしています。
引⽤元︓マクニカ公式サイト(https://www.macnica.co.jp/business/energy/products/136384/)
マクニカは世界中の先端テクノロジーを組み合わせた提案・販売を得意とし、技術商社としての立場を確立してきた企業です。
引⽤元︓東京ガス(https://eee.tokyo-gas.co.jp/service/energymanagement/detail.html)
ガスと電気を対象にした自動制御によるエネルギーマネジメントシステムを提供。気象情報データと連動させた計画運転も可能です。
【選定条件】
「エネルギーマネジメントシステム」としてピックアップした事業者について:2023/6/30時点、「エネルギー管理システム」「エネルギーマネジメントシステム」「エネルギー監視システム」でgoogle検索を実施し、100位以内に表示された事業者52社から選出。
「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」「既存設備の流用がしたい」「他社システムとの連携がしたい」「複数メーカーの機器を一元管理したい」という要望に応えられる事業者の内、各業種の分類から実績数が明確かつ多い企業をおすすめとして掲載しています。