2013年の省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)の改正にともない、より厳格な対策を求められるようになった事業者は少なくありません。法令遵守の観点で省エネ対策を進めるには、省エネ法を正しく理解し、求められる要件に応えていく必要があります。
ここでは、省エネ法の解説と対象事業者に課せられる義務など、おさえておきたいポイントをまとめました。
省エネ法とは、簡単にいうと、エネルギー資源を有効に活用するため事業者がエネルギー使用の合理化を目指すことを目的に定められた法律です。
資源の少ない日本では、限られたエネルギー資源をいかに有効活用するかが重要な課題となっています。省エネ法では、経済的・社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用を確保することと、工場や輸送機関、建築物、機械などに使われるエネルギーの合理化を総合的に進めるため、事業者に対して必要な措置を講じるよう求めています。
なお、2013年の省エネ法改正では、電力需要を平準化するため所要の措置を行うことも追加されました。
省エネ法が関係する事業者は、大きく「直接規制される事業者」と「間接規制の事業者」にわけられます。それぞれの対象事業者と、求められる義務や努力目標について解説しましょう。
※参照元:経済産業省資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/overview/
直接規制する事業分野は、工場を運営する事業者と運輸関係の事業者です。運輸関係には、旅客や貨物を輸送する事業者だけでなく、荷主も含まれます。これらの事業者には、省エネへの取り組みとあらかじめ決めた判断基準を達成するための努力義務が課せられます。
また、一定の規模以上の事業者に対しては、エネルギー使用状況などを毎年報告することを義務付けています。報告義務のある対象者に関しては、「省エネ法の対象となる事業者は?」のページで詳しく解説します。
間接規制の対象となる事業者には、機械器具など一定以上の生産量を誇る製造業者や輸入業者と、家電やエネルギーの小売事業者があります。
このうち前者(製造業者など)には、自動車、家電製品、建材など32品目のエネルギー消費効率の目標を設定し、その達成を求めています。一方の後者(家電等の小売事業者)に対しては消費者への情報提供を努力目標としています。
※[PDF]参照元:経済産業省資源エネルギー庁「省エネ法の概要」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/20181227_001_gaiyo.pdf
省エネ法の対象事業者には、取り組み内容などの報告義務が課せられます。報告しなければならないものは、以下の通りです。
対象事業者すべてに対して、現状のエネルギー使用状況をまとめて管轄の経済産業局に提出することが義務付けられています。報告内容には、工場や本社、営業拠点など事業者全体で使用した燃料、熱、電気の年間使用量を原油量に換算した数値もあります。
定期報告書とは、事業者全体とエネルギー管理指定工場などで使用したエネルギー量などを記載したものです。中長期計画書は、省エネの取り組みに関する計画書のこと。これらは、特定事業者のみに課せられます。なお、一定の条件を満たす優良事業者だと中長期計画書の提出は不要です。
本来エネルギーの使用量を管理・制御することを目的に導入されるエネルギー監視システムですが、最近では業務効率化の目的において導入する事業者も増えてきているようです。
それが、大型の施設を所有する企業にとっては欠かせない省エネ法の定期報告義務に関する業務。適切なエネルギー監視システムを導入すれば、たとえ拠点が点在している製造施設でも、どんなに確認すべきエネルギー使用量が多くても、その情報を一元化させることが可能なのです。
以下の記事では、業務の負担軽減を目的としてエネルギー監視システムを導入する問合せの多いシステム開発会社を紹介しています。
特定事業者に指定された工場では、省エネ計画を企画推進するエネルギー管理統括者や、実際に管理するエネルギー管理者などの専門家を設置することが義務付けられています。これらの人材を選任や解任した際には、管轄の経済産業局に報告することも義務になっています。
※参照元:経済産業省資源エネルギー庁[PDF] https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/besshi3.pdf
直接規制と間接規制、いずれの対象者にも省エネに関する取り組みが不十分な場合には、指導・助言、合理化計画の作成指示、勧告などが行われます。特に、直接規制する事業分野には、努力義務や定期報告書・中長期計画書の提出といった報告義務に違反すると、罰則が科せられますから注意が必要です。一例を挙げると、以下のようなペナルティがあります。
※参照元:経済産業省資源エネルギー庁[PDF] https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/media/data/shoene_tebiki_02.pdf
省エネに関する取り組みが不十分で、指導や助言を受けた場合には、速やかに取り組みを改善していくことが求められます。
もし、エネルギー監視システムを導入していない事業者であれば、これを導入して「エネルギーの見える化」を行うことから始めるとよいでしょう。見える化によって「いつ、どこで、どれくらいのエネルギーを使用しているか」を把握できますから、無駄なエネルギーの原因をつかむことも容易になりますし、省エネ施策も検討しやすくなります。
また、エネルギー使用届出書などの報告書を作成するうえでも、システムで集めたデータを使えるといった効率化も実現します。
このほか、具体的な改善策については「企業省エネの具体的施策集」で、事例を交えながら詳しく解説していますので、こちらもぜひご参照ください。
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具体的な省エネ施策集
「エネ監ポータル」では、「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」、「既存設備の流用がしたい」、 「他社システムとの連携がしたい」、という導入目的に当てはまるシステムを提供している会社を提供会社の分類から1社ずつご紹介します。
引⽤元︓クレアビジョン公式サイト(https://clairvision.co.jp/service/ever-green-vision/)
エネルギー監視システム用のソフト開発から、パッケージ化されたシステムの提供までを実施。ITを軸にした価値提供をしています。
引⽤元︓マクニカ公式サイト(https://www.macnica.co.jp/business/energy/products/136384/)
マクニカは世界中の先端テクノロジーを組み合わせた提案・販売を得意とし、技術商社としての立場を確立してきた企業です。
引⽤元︓東京ガス(https://eee.tokyo-gas.co.jp/service/energymanagement/detail.html)
ガスと電気を対象にした自動制御によるエネルギーマネジメントシステムを提供。気象情報データと連動させた計画運転も可能です。
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