エネルギーマネジメントとRE100は

目次

このページでは、再生可能エネルギー(再エネ)率100%を目指すRE100やエネルギーマネジメントの必要性について解説します。

RE100とは?

RE100は、「Renewable Energy 100%」という意味。企業が使用するエネルギーを、全て再生可能エネルギーにするという目標を掲げた国際的イニシアチブを表す言葉です。

非営利団体「The Climate Group(クライメイト・グループ)」が、2014年に掲げ、2022年現在では、204の企業がRE100に加盟し、脱炭素経営への舵を切っています。

また、環境問題に取り組んでいるかどうかは、現代社会において企業の価値を担っています。投資家たちは市場動向だけでなく、環境保護における企業の役割も見ているのです。そのため、RE100が目標とする再生可能エネルギーへの100%転換は、地球環境を考えていることへのアピールにもなります。

RE100プロジェクトの経緯

地球温暖化や異常気象、化石燃料の枯渇と言った問題は、放っておけば悪化の一途です。そうした状況に歯止めをかけるべく、RE100プロジェクトはスタートしました。企業が環境保護に取り組むことによって、結果として消費者が製品やサービスを使用することが保護活動にもつながります。個々人が取り組むのももちろん大切ですが、「働く」という要素と組み合わせることで、より効果のある活動になるのです。

RE100の参加条件

RE100には参加条件があります。2022年4月調査時点の参加条件は以下のようになっています。

  1. 消費電力量が年間100GWh(日本企業は50GWh)以上である
  2. 自社事業において使用する全電力を再生エネルギー由来にするため、期限付きの目標を立てて公表できる
  3. グループ企業の場合、全体での参加・目標達成に向けてアクションする

従業員数や拠点数といった条件は設定されてないものの、消費電力50GWh以上ともなれば、それだけ大規模な企業で無いと該当しないでしょう。これは、影響力のある大企業がRE100に加盟することによって、再生エネルギーへの転換をリードする狙いがあります。

また、グループ企業は参加が可能ですが、支配率50%以下の子会社は対象にはなりません。

参加条件とは別に参加基準も設けられています。下記からも、リーディングカンパニーや大企業を対象としていることが分かります。

  1. 少なくとも0.1TWh/100GWh/100,000MWhのRE100にコミットできること
  2. RE100優先地域のキープレーヤーであること(業界のキープレーヤー/RE100ターゲットセクターなど)
  3. RE100優先地域での政策提言に積極的に関与すること
  4. 世界的または全国的に認められ、信頼されているブランド、または主要な多国籍企業であること(フォーチュン1000または同等)

また、以下の事業のみを行う企業は、参加できません。

  • 化石燃料
  • 航空会社
  • 弾薬
  • ギャンブル
  • タバコ

中小企業向けには、「再エネ100宣言RE Action」といった取り組みがあります。自社消費電力を2050年までに100%再生エネルギーにシフトする、自社Webサイトで公表する、取り組みを実施して報告するなどの条件を満たすことで加入できます。

参照:JCLP|FAQ(https://japan-clp.jp/membership/faq-reoh

参照元:RE100|RE100 Joining Criteria【PDF】(https://www.there100.org/sites/re100/files/2022-10/RE100%20Joining%20Criteria%20Oct%202022.pdf

環境省のRE100に関する取り組み

環境省はRE100アンバサダーとして、公的機関初の参画をはたしています。日本国内でのRE100の取り組みとして、以下を実施しました。

  • 「気候変動時代に公的機関ができること~「再エネ100%」への挑戦~」の公表

環境省が取り組んだ電力調達の知見をまとめた資料を公表しています。再生可能エネルギーの調達方法や取り組み事例などが掲載されています。

  • 環境省RE100達成のための行動計画の策定(2019年12月27日)

RE100では取り組みや目標を公表するのが条件となっています。環境省でも同様に、2030年までに再エネ比率を何%にするのか、どういったアクションを起こすのかをまとめて公表しています。

例えば、再生可能エネルギー率30%と言う目標を達成している新宿御苑にかんしては、比率を100%にするとしています。

参照:環境省|公的機関のための再エネ調達実践ガイド(https://www.env.go.jp/earth/earth/re100_1/RE100guidebook.pdf

再生可能エネルギーの調達方法

RE100達成に欠かせない再生可能エネルギーの調達方法を紹介します。

専用線による調達

太陽光や風力などによって発電された電気を、専用線を用いて引込み使用する方法です。自社敷地内に太陽光パネルを設置してもよいですし、敷地外の設備から電力を得てもOKです。

再生可能エネルギー電力を購入する

小売電気事業者が再生可能エネルギーによって発電した電気を購入する方法です。この場合、事業者の販売する電気が再エネ電力である証明を得ている必要があります。

再エネ電力証書を購入する

発電事業者から、電力ではなく環境価値を証書にしたものを購入する方法です。グリーン電力証書・再エネ発電由来J-クレジット、非化石証書などがあります。

これは、再エネ電力をそのまま導入するのではなく、再エネの価値を購入して目標比率に充てるという方法です。実際には、別途電力を購入する必要があります。

エネルギーマネジメントとは

エネルギーマネジメントは、使用エネルギーを効率よく使うための活動全般を指す言葉です。工場や事務所、住宅、教育施設、住宅など、施設だけでなく地域という広いエリアでの活動も含みます。

エネルギーがどこにどのように使われているかを洗い出し、無駄が無いか・より効率的な使用はできないかなどが考えられます。

EMSとは

EMSはエネルギーマネージメントシステムの略でエムズと呼ばれます。システムとあるように、エネルギーマネジメントを行うための仕組みやツールなどを指す言葉です。導入施設ごとに呼び名が少し変わってきます。

  • BEMS…Buildingの頭文字が付く。企業の事務所やビルを指す
  • FEMS…Factoryの頭文字が付く。工場を指す
  • HEMS…Homeの頭文字が付く。住宅を指す
  • MEMS…Mansionの頭文字が付く。マンションを指す
  • CEMS…Communityの頭文字が付く。ある地域を指す

エネルギーマネジメントは何故必要なのか

企業におけるエネルギーマネジメントは、単にエネルギー効率を上げてコストが削減できるだけではありません。

当ページで紹介しているRE100やRE Action、持続可能な開発目標(SDGs)、脱炭素化といった地球環境への取り組みが、企業の付加価値となるためです。消費者や株主といったステークホルダーも、環境問題への取り組みを重要視していますが、今後はその波がますます大きくなっていくでしょう。

エネルギーマネジメントを実施したい場合は、EMSを導入してスピーディーかつ効率的な改善を目指していきましょう。

3つの導入理由からひも解く
エネルギー監視システム
おすすめ3選

「エネ監ポータル」では、「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」、「既存設備の流用がしたい」、 「他社システムとの連携がしたい」、という導入目的に当てはまるシステムを提供している会社を提供会社の分類から1社ずつご紹介します。

ITを軸にしたエネルギー監視システム
クレアビジョンEverGreenVision
クレアビジョン

引⽤元︓クレアビジョン公式サイト(https://clairvision.co.jp/service/ever-green-vision/)

エネルギー監視システム用のソフト開発から、パッケージ化されたシステムの提供までを実施。ITを軸にした価値提供をしています。

EMSの特徴
  • 監視できるエネルギーの範囲や機能にほとんど制限がない
  • 既存計器や安価な機器も組み込める
  • 電気や水・ガスなどのエネルギーを計測できる
  • IoTに関連した機能により故障予知や原単位管理も可能
導入後サポート
充実した監視システム
マクニカKisenseⓇ
マクニカ

引⽤元︓マクニカ公式サイト(https://www.macnica.co.jp/business/energy/products/136384/)

マクニカは世界中の先端テクノロジーを組み合わせた提案・販売を得意とし、技術商社としての立場を確立してきた企業です。

EMSの特徴
  • 世界的に多数の導入実績があるEMS
  • センサーを中心に扱っている企業のため、知識力が高い
  • データレビューのサービスがあり、導入が無駄にならない
  • Windowsの操作に似た操作感で直管的に使える
ガスと電気の総合自動制御システム
東京ガスエネルギーサービス
東京ガス

引⽤元︓東京ガス(https://eee.tokyo-gas.co.jp/service/energymanagement/detail.html)

ガスと電気を対象にした自動制御によるエネルギーマネジメントシステムを提供。気象情報データと連動させた計画運転も可能です。

EMSの特徴
  • 遠隔での監視・運転制御により省コストを実現
  • 室温に応じた省エネ運転を室外機の遠隔制御により自動で行う
  • 遠隔監視により故障予知や省エネ運転なども可能

【選定条件】
「エネルギーマネジメントシステム」としてピックアップした事業者について:2023/6/30時点、「エネルギー管理システム」「エネルギーマネジメントシステム」「エネルギー監視システム」でgoogle検索を実施し、100位以内に表示された事業者52社から選出。
「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」「既存設備の流用がしたい」「他社システムとの連携がしたい」「複数メーカーの機器を一元管理したい」という要望に応えられる事業者の内、各業種の分類から実績数が明確かつ多い企業をおすすめとして掲載しています。