DXの意味や課題とEMSのメリット

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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX は「デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)」の頭文字を取った略語。「進化したデジタル技術を浸透させて人々の生活をよい方向へ変えよう」といった意味です。DXという言葉はビジネスでも使われています。ビジネスにおいては「デジタル技術を使った製品やサービスやビジネスモデルから、業務まで変革する」といった意味です。

たとえば、建設業界では土砂の積み込み作業を自動化するシステムが実用化されました。生産性向上と労働力や労働者の高齢化という業界全体の問題解決のきっかけになる試みで、これもDXのひとつです。また、物流業界ではマッチングプラットフォームを構築し、軽貨物と荷主をつなげるような仕組みが作られました。DXはさまざまな分野で業務変革を推進する概念となっています。

DXとデジタル化(デジタライゼーション)の違い

デジタルトランスフォーメーションと似た言葉が「デジタライゼーション」です。デジタライゼーションは「既存製品やサービスを、ITやICTによって機能向上と効率化により付加価値を高めよう」という内容になります。

たとえば、「対面営業からビデオチャット・オンラインツールを導入しての営業に切り替える」といった変化がデジタライゼーションに当てはまります。デジタライゼーションは基本的に個別業務や製造プロセスのデジタル化です。一方のデジタルトランスフォーメーションは個別ではなく、企業組織や業務や製造プロセス全体をデジタル化する意味に使われるのが一般的。部分最適のデジタル化がデジタライゼーション、全体最適のデジタル化がDXと使い分けるといいでしょう。

日本の製造業のデジタルトランスフォーメーションにおける課題

日本はエネルギーのデジタル化が遅れている

日本のモノづくりを支える製造業の分野では、デジタルトランスフォーメーションが遅れています。国内の製造業者に対して行った調査結果から見えてきた業界の課題です。2019年12月に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行った「我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査」によると、生産プロセスに関連する設備の稼働状況のデータ収集を行っている企業は2018年段階では58.0%。2019年では51.0%となんと減少していました。

データ化や見える化、検査工程の自動化など、DXに関連する取り組みを実施している企業も2017年で9.0%、2018年で9.9%、2019年で11.1%と向上してはいるものの、変化の速度は遅いと言えます。DXへの意識の低さは製造業界全体の課題です。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査」(https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2020FY/000066.pdf)[PDF]

レガシーシステムが企業を足踏みさせている問題

日本国内でデジタルトランスフォーメーションが進まない理由のひとつに「レガシーシステム」の存在が挙げられます。レガシーシステムとは、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した基幹システムの総称です。

日本情報システム・ユーザー協会と野村総合研究所システムコンサルティング事業本部による「デジタル化の進展に対する意識調査」(平成29年)では、「レガシーシステムがDXの足かせと感じているか」という問いに対して「強く感じる」と答えた企業は17.2%、「ある程度感じる」と答えた企業が50.0%でした。

課題を感じている企業が多いにも関わらずDXが進まない理由としては、具体的な活用方法がわからない、レガシーシステムと連携がむずかしい、IT投資の不足、ブラックボックス化で、影響の不透明さで下手に手を出せないことがあげられています。

参照元:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会、野村総合研究所システムコンサルティング事業本部「デジタル化の進展に対する意識調査」 (http://www.juas.or.jp/cms/media/2017/03/digitalization2017.pdf)[PDF]

EMS(エネルギー監視システム)とは

EMS(エネルギー監視システム)とはエネルギーを見える化するシステムです。視覚的にエネルギーの使用量が把握できるなどの他にも多くのメリットがあります。

EMS(エネルギー監視システム)でエネルギーを見える化する

EMSはエネルギー監視システムのことで、エネルギーを見える化できます。見える化できれば、施設や設備で電力をはじめとしたエネルギーをどれだけ使用しているか、どこを削減できそうかが視覚的に判別可能。

数値の測定・表示以外にアラート機能が備わっているEMSもあります。工場をはじめとする大型の施設でも従業員が日常的に電力消費に気をつけるようになるのが利点。また、EMSの導入は省エネへの意識が高める心理的な効果も期待できます。

設備の保守や省エネ法関連業務を効率化できる

EMSを適切に運用していると、設備の不具合にいち早く気づける場合があります。エネルギーの使用量に極端な変化があれば、設備に問題が生じている可能性が想定できるからです。そのデータが根拠となり、完全に故障する前に設備更新や修繕といった対応ができます。

省エネ法関連業務もEMSで効率化可能です。EMSによりデータの一元化は、エネルギー使用状況の定期報告の提出義務がある工場や企業は助かるポイント。報告書作成に関連する業務の効率化が期待できます。

EMS(エネルギー監視システム)とDX(デジタルトランスフォーメーション)の関わり

エネルギー監視システムとDXには密接な関係があります。DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、企業がデジタル技術を活用してビジネスプロセスを変革することを指します。エネルギー監視システムは、ビジネスプロセスの改善に役立つデータを提供し、DXを推進するための有力なツールの一つです。 エネルギー監視システムは、建物や工場などで使用されるエネルギーの消費量や発電量をリアルタイムでモニタリングし、効率的なエネルギー利用を促進することができます。これにより、省エネルギーや削減効果などが実現され、企業の持続可能性を高めることができます。

エネルギー監視システムは、DXにおけるビッグデータやIoTの重要な要素でもあります。エネルギー監視システムは、エネルギー使用量のデータを収集し、分析することができます。そして、その分析結果を基に、エネルギー使用効率の改善や、コスト削減、業務プロセスの効率化などの施策を実施することができます。 さらに、エネルギー監視システムは、企業におけるエネルギー管理において、重要な役割を果たすことができます。企業においては、エネルギーの使用状況や節約施策などを定期的に報告することが求められます。エネルギー監視システムを導入することで、自動的にデータが収集されるため、企業側は手間を省くことができます。

以上のように、エネルギー監視システムはDXの推進において、重要な役割を果たすことができます。エネルギー監視システムを導入することで、企業はエネルギー使用効率の向上やコスト削減、業務プロセスの効率化などのメリットを享受できます。

エネルギー監視システムは、DXの推進にも有効です。DXでは、ビジネスプロセスの最適化や効率化を目指し、データの収集や分析が欠かせません。エネルギー監視システムは、建物や施設のエネルギー消費量をリアルタイムで把握し、ビッグデータとして蓄積することができます。これにより、省エネやCO2排出削減の目標達成に向けた施策を立案することができます。
また、エネルギー監視システムの導入には、様々なメリットがあります。例えば、省エネ効果の向上や、CO2排出量の削減が期待できます。また、施設の稼働状況を把握することで、適切なメンテナンスのタイミングを把握し、機器の寿命を延ばすことも可能です。更に、従業員のエコ意識を高め、環境に配慮した行動を促すこともできます。
エネルギー監視システムの導入には、一定の費用がかかりますが、その費用以上の効果が期待できるため、今後ますます普及していくことが予想されます。DX推進やSDGs達成に向け、積極的に導入することが望まれます。

3つの導入理由からひも解く
エネルギー監視システム
おすすめ3選

「エネ監ポータル」では、「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」、「既存設備の流用がしたい」、 「他社システムとの連携がしたい」、という導入目的に当てはまるシステムを提供している会社を提供会社の分類から1社ずつご紹介します。

ITを軸にしたエネルギー監視システム
クレアビジョンEverGreenVision
クレアビジョン

引⽤元︓クレアビジョン公式サイト(https://clairvision.co.jp/service/ever-green-vision/)

エネルギー監視システム用のソフト開発から、パッケージ化されたシステムの提供までを実施。ITを軸にした価値提供をしています。

EMSの特徴
  • 監視できるエネルギーの範囲や機能にほとんど制限がない
  • 既存計器や安価な機器も組み込める
  • 電気や水・ガスなどのエネルギーを計測できる
  • IoTに関連した機能により故障予知や原単位管理も可能
導入後サポート
充実した監視システム
マクニカKisenseⓇ
マクニカ

引⽤元︓マクニカ公式サイト(https://www.macnica.co.jp/business/energy/products/136384/)

マクニカは世界中の先端テクノロジーを組み合わせた提案・販売を得意とし、技術商社としての立場を確立してきた企業です。

EMSの特徴
  • 世界的に多数の導入実績があるEMS
  • センサーを中心に扱っている企業のため、知識力が高い
  • データレビューのサービスがあり、導入が無駄にならない
  • Windowsの操作に似た操作感で直管的に使える
ガスと電気の総合自動制御システム
東京ガスエネルギーサービス
東京ガス

引⽤元︓東京ガス(https://eee.tokyo-gas.co.jp/service/energymanagement/detail.html)

ガスと電気を対象にした自動制御によるエネルギーマネジメントシステムを提供。気象情報データと連動させた計画運転も可能です。

EMSの特徴
  • 遠隔での監視・運転制御により省コストを実現
  • 室温に応じた省エネ運転を室外機の遠隔制御により自動で行う
  • 遠隔監視により故障予知や省エネ運転なども可能

【選定条件】
「エネルギーマネジメントシステム」としてピックアップした事業者について:2023/6/30時点、「エネルギー管理システム」「エネルギーマネジメントシステム」「エネルギー監視システム」でgoogle検索を実施し、100位以内に表示された事業者52社から選出。
「自社の範囲に合わせたシステム導入をしたい」「既存設備の流用がしたい」「他社システムとの連携がしたい」「複数メーカーの機器を一元管理したい」という要望に応えられる事業者の内、各業種の分類から実績数が明確かつ多い企業をおすすめとして掲載しています。