環境への影響や社会貢献を目的に、オフィスビルでも省エネへの取り組みが活発化しています。「使わない照明は消す」「空調の設定温度を固定する」など、これまでも人の手による省エネ活動をおこなってきた企業も多いでしょう。しかし、それだけではエネルギーの削減目標の達成が困難なのも事実です。
そこで、ビルエネルギー管理システム(BEMS)を導入して「エネルギーの見える化」を実行することが重要になってきます。オフィス内で使用されているエネルギーの状況を、照明や空調、コンセントなどの場所ごとに、また時間別や日別など日時ごとに集計されますから、「エネルギーがいつ、どこで、どれくらい使用されているか」を一目で把握できるようになります。
集積したデータを分析することで、「昼休みや深夜でもパソコンの電力消費が多い」「使用していない会議室で空調が使われている」といった無駄なエネルギーが使われている原因を突き止められます。
このように、オフィスビルで省エネを効果的に進めるには、現状のエネルギー使用量を正確に把握し、そのデータをもとに対策を検討していくことがスマートな方法といえるでしょう。
ビルエネルギー管理システムは、「制御部」「監視部」「管理部」の大きく3つから構成されています。
制御部は、センサーやインバータ、電力やガスの計測器などを活用して、ポイントごとの必要データを収集し、監視部に送信する役割を担います。たとえば、温度センサーを使ってオフィス内の温度や湿度を収集したり、人感知センサーで会議室に人がいる時間帯を収集したりするのがオフィスにおける役割です。各種データは、監視部(中央監視装置)に送信されます。
監視部では、集められたデータからエネルギー使用状況を分析。それと同時に、過去の運転実績などから需要を予測し、空調や照明などの最適な運転制御をおこないます。
そして管理部では、空調や照明の保守や清掃など設備を最良の状態に保つ役割を果たします。
企業省エネを成功させるには、まずエネルギーの見える化を推進させる必要があります。
エネルギー監視システムは様々な企業から提供されていますが、自社に合うシステムとはどんなものでしょうか。
そこで、エネルギーマネジメントシステムの専門ポータル「エネ監ポータル」では、各社を独自の視点で分類、比較してみました。
エネルギー見える化システム導入の業者選定でお役に立つコンテンツです。
エネルギー監視システムの
特徴・おすすめポイントを比較してみる
オフィスビルにおけるエネルギー使用量は、照明と空調の割合が大きいとされます。ビルエネルギー管理システムを導入した多くのオフィスビルでも、この2つエネルギー使用量をいかに減らすかが、省エネを進める重要なカギといえそうです。
財団法人省エネルギーセンターの調査によると、オフィスビルの専有スペースで使用されるエネルギーの約40%が照明という結果になっています(※)。共有部を含めても、ビル全体の約4分の1のエネルギーが、照明に使われているようです。
節電を意識しても、誰もいない会議室の電気がつけっぱなしになっていることもあるでしょう。この場合、人感知センサーを活用した照明にすれば、無駄なエネルギーを抑えることにつながります。
また、全体的に使用エネルギーを抑えるなら、LED照明にリプレイスするのも一手です。従来の蛍光灯に比べて、LEDの消費電力は約4分の1に減らせるといわれますから、効果は大きいでしょう。
※参照元:2021年6月調査時点、財団法人省エネルギーセンター「オフィスビルの省エネルギー」https://www.eccj.or.jp/office_bldg/01.html
オフィスビルにおける空調設備の消費電力は、約28%(専有スペースのみ)を占めます(※)。なお、これは一年を通しての数値です。夏になるとエアコンの稼働が増え、その割合はさらに大きくなります。
ビルエネルギー管理システムを導入したオフィスビルでは、一部のエアコンを自動停止するなど間欠運転をおこないます。オフィス内は一定の温度を維持できるようコントロールされますから、不快な環境になることはありません。
また、ピークカットによる契約電力の引き下げも可能となり、基本料金を抑えるなど電力コスト削減にも貢献します。
※参照元:2021年6月調査時点、財団法人省エネルギーセンター「オフィスビルの省エネルギー」 https://www.eccj.or.jp/office_bldg/01.html
ビルエネルギー管理システムの導入事例として、ここではライオン株式会社の本社がある「ライオン両国ビル」のケースを紹介しましょう。
東京都墨田区にあるライオン両国ビルは、地上10階、地下1階の中規模ビルです。BEMS導入前から、照明のLED化や遮光フィルムで室温の上昇を抑えるなどの省エネ施策を行ってきましたが、その効果検証が難しく、さらにデマンド管理も目視と手動で実施したため夏場にはデマンド超過が生じる日もあったようです。
こうした経緯から、さらなる省エネ対策の推進を目指して、2013年にBEMSを導入しました。
まず行ったのが、照明や動力など用途別の使用電力量を把握するため、細かくわけて測定。また、デマンド目標値を超えそうになると警報で通知するデマンド監視装置を導入するとともに、空調の冷凍機など登録した機器の運転を停止する自動制御も実施しました。
これにより、エネルギーの見える化を実現できたことに加え、自動制御による効果で契約電力超過を防げるようになったそうです。空調は各部屋の室温を管理室で把握し、遠隔操作でコントロールできるようになっており、快適性を維持しています。
さらに、電力使用量の多い機器や改修の必要がある機器なども、用途別の使用量を分析することで明らかになり、さらなる省エネを目指して中長期の修繕計画に生かしていく計画です。
※参照元:アズビル https://www.azbil.com/jp/case/bsc/nou_419/index.html
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エネルギーマネジメントシステム導入成功60事例
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マクニカは世界中の先端テクノロジーを組み合わせた提案・販売を得意とし、技術商社としての立場を確立してきた企業です。
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